最近ニュースや新聞で目にすることが多くなってきた「ICO」。「ICO」という言葉を目にしたことはあっても、その中身を正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。
2017年、ICOでの資金調達は3,200億円を超えたと言われています。2016年は260億円程度だったので、前年の1200%以上の資金調達が行われたことになりますね。
この大きな波はすぐそこまで来ています。
社会のあり方を大きく変えるかもしれないICOは、これからを生きるビジネスマンにとって、避けては通れないトピックです。
そこで今回は、ICOを勉強するならまずはこの本から!という1冊をご紹介したいと思います。
「世界は逆転する!仮想通貨サービス・ICOで世界を変える」です。
Contents
bitcoin.com社CEOロジャー・バー氏、OK WAVE社CEO・兼元謙任氏、実業家・松田元氏の共著
bitcoin.com社CEOロジャー・バー氏
Bitcoin never had a scaling problem to begin with.
The problem was artificially and intentionally created by limiting the block space.— Roger Ver (@rogerkver) 2018年1月24日
ロジャー・バー氏は、「ビットコインの神」として知られています。仮想通貨フィンテック関連の新興企業へ、世界で最初に投資を行った人物です。
OK WAVE社CEO・兼元謙任氏
「感動の可視化」ICOソリューション「Wowoo」の評議会に 仮想通貨業界の第一人者ロジャー・バー氏を招聘 https://t.co/iNVC7yp5hr
— 兼元謙任 (@Kaneto_Kanemoto) 2017年12月4日
兼元謙任氏がCEOを務めるOK WAVEは、日本最大のQ&Aソーシャルコミュニティーの1つ。また、近年は仮想通貨業界にも参入し、関連企業がICOプラットフォームを立ち上げています。
実業家・松田元氏
命に次ぐ重要私財を二度も忘れ、帰還された事実から学んだことは以下二つ。暗号通貨は法定通貨の補完的存在であり、法律の補完的存在である。既存の法律や通貨で許されていないことを暗号通貨で補填できるルール整備が必須。事実、少なくとも上海女性のパフォーマンスは数千万円以上の実態価値があった
— 中退社長(松田元)@セカオワ (@drop_outer) 2017年12月28日
松田元氏は、アズホールディングスで代表取締役社長を務めている実業家。「時給800円のフリーターが3年で年収1000万円に変わる仕事術」、「めんどくさいことの9割は捨てていい」、「世界の終わりの歩き方」など、多くの著書を出版しています。
本書の構成
本書は、全4章に分かれています。
- 明日から話せるICOの基礎知識
- なぜICOは、この世界を変えるのか
- ICOの信頼を支える新技術「スマートコントラクト」
- 仮想通貨とICOの可能性を求めて
第1章、明日から話せるICOの基礎知識
本章では、ICOの基本的な流れから仕組み、事例など、ICOの基礎知識について解説されています。
ICOとは?というところから丁寧に解説されているので、スラスラ読み進めることができました。
以下、本文からの抜粋です。
愛知県名古屋市にある「サンタルヌー」は、ベルギービール専門のダイニングバーですが、早い段階からビットコイン以外にも複数の仮想通貨による決済を行っていて、世界的にも知る人ぞ知る存在です。そのサンタルヌーが東京進出のためのICOを始めて、見事に成功を収めました。飲食店によるICOが成功を収めた世界初の事例です。
私自身、「シリコンバレーに住む一部の人たちがしていることなんでしょ?」なんて思っていましたが、本書を読んで驚きました。
世界中のIT企業はもちろん、日本のダイニングバーですらICOを行っているのですね。
「ICOなんて自分の業界には関係ない。」なんて言っていられません。
本書を読み、すべてのビジネスマンがICOを自分事として捉える必要があるのだと感じました。
第2章、なぜICOは、この世界を変えるのか
本章では、ICOの優位性や予想される今後の展開について解説されています。
ICOがもたらす地方再生の可能性や、各国のICOへの取り組みなど、様々な角度から解説されているので、ICOへの理解がとても深まりました。
以下、本文からの抜粋です。
エストニアは、世界で初めて、国家が発行する仮想通貨「エストコイン」のリリースを計画しています。このエストコインは、世界初の「国家ICOトークン」ともなる予定です。
企業や個人だけでなく、国としてもICOを行うんですね。
ICOは、円やドルなど、そもそものお金のあり方すらをも大きく変えてしまうかもしれません。
本書を読み、仮想通貨やICOが社会に与えるインパクトの大きさを実感しました。
第3章、ICOの信頼を支える新技術「スマートコントラクト」
本章では、ICOに欠かすことのできないスマートコントラクトについて解説されています。
具体例を用いながらスマートコントラクトの仕組みについて解説されているので、すんなり理解することができました。
以下、本文からの抜粋です。
公的な個人情報管理システムがしっかりと確立されていない国々では、このスマートコントラクトを導入することで、かなり精度と安全性の高い公的記録の仕組みを一足飛びで整備することができます。
日本は、登記制度やマイナンバーなど、スマートコントラクトを導入せずとも精度と安全性の高い公的記録の仕組みが確立されています。
しかし、世界を見渡してみると、そんな国はごく一部です。
それらの国がスマートコントラクトを持ち込むことで、かつて先進国が辿ってきた道のりを飛び越えて文化レベルの向上が加速しますね。
スマートコントラクトは、世界各国で数十億人単位の生活水準を一気に引き上げてしまうかもしれません。
第4章、仮想通貨とICOの可能性を求めて
著書である兼元氏と松田氏による対談や、ロジャー・バー氏へのインタビューなどを通して、幅広い角度から仮想通貨やICOについて語られています。
ICOが社会に与える影響についての著者の考えや、ロジャー・バー氏が今後の仮想通貨業界をどう考えているのか、など、とても興味深い内容です。
以下、本文からの抜粋です。
そのプロジェクトが社会的に共感され、リスペクトされ、ユーザーを増やせるかどうか、これらの点を押さえればICOで資金調達できるのです。共感される価値が、経済的な価値になるのです。
「売り上げをあげて、経費を削って、営業利益を出して、税金を払って、余った利益をみんなで共有する」という従来の会社経営方法ではなくなるということですよね。
どうやったら利益率の高いものを生み出せるか?と考えていたビジネスマンが、どうやったら人々に共感してもらえるか?を考える時代に。
とても面白そうですよね。
本書を読んで学んだこと
ICOについての理解を深められたことはもちろんですが、それ以上に、ICOや仮想通貨について学ぶことの大切さを感じられたことが良かったです。
ICOが社会にどれほど大きなインパクトを与え、どう社会を変えていくのか、それを知ることができてよかったです。
投資をしている人やIT業界で活躍している人だけでなく、すべてのビジネスマンが学ぶべきことだと思いました。
Amazonのレビューをチェック!
2018年1月18日に発行された直後にもかかわらず、すでに9件のレビューが寄せられていました。
評価は5つ星のうち、3.3。
それでは、興味深かったレビューをいくつかご紹介していきますね。
仮想通貨について平易に理解しやすく書かれていて面白かった。世界は逆転するという狙いや背景を読めるのは価値があると思う。数年後実はスタンダードになる類の話かな。
具体例や対比を用いて解説されているので、初心者の方でも理解しやすい内容になっています。
1冊目に手に取る入門書としてオススメの1冊。
一方で、このような意見も寄せられていました。
扱っているテーマは良いと思うのですが、内容が雑誌みたいな感じでちょっと薄いように感じました。
確かに、ICOや仮想通貨についての知識をすでに持っている方が読む本としては、少し物足りないかも知れません。
上級者向けというよりは、初心者向けの入門書です。
初心者が1冊目として読むには、十分内容が詰まった本ではないかと思います。
Amazonでの購入
「世界は逆転する!仮想通貨サービス・ICOで世界を変える」の購入はこちらから
単行本(ソフトカバー):1,404円
以上、「世界は逆転する!仮想通貨サービス・ICOで世界を変える」の書評をまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
ICOや仮想通貨、ブロックチェーンは、社会を大きく変える可能性をはらんでおり、すべてのビジネスマンにとって勉強必死のトピックです。
最初に手に取る入門書として最適な本書で、ICOを一から学んでみてはいかがでしょうか?