このところ順調にビットコインの上昇が続いており、もうすぐついに100万円の大台に到達しそうな勢いですね。2017年1月にはまだ11BTC=10万円前後だったことを考えると、この1年での急成長はすごいですね。
さて、今回の記事では、2017年に暴落・急落した仮想通貨について書いていこうと思います。
ビットコインやアルトコインなど仮想通貨は、株式市場と違い「ストップ高」や「ストップ安」がないので、急騰しやすいという一面を持っています。
そして、急騰しやすいということは、逆に暴落・急落することもあります…。
この記事では、2017年に暴落・急落した仮想通貨のケースとその原因を、振り返って解説していきます。
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仮想通貨の大暴落はなぜ起こる?
株式投資に比べて、暴落や急騰の原因が分かりにくいと言われている仮想通貨。
しかし、人が売ったり買ったりするものなので、暴落・急騰にはやはり何かしらの理由が隠されていることが多いんですよね。(理由が分からない場合ももちろんありますが)
2017年に大暴落したケースを振り返ると、暴落の理由が「中国」に起因するケースが非常に多くなっています。
たとえば、それまで着実に上昇していたビットコインが、2017年1月5日に30%急落した原因は、中国の通貨当局が資本規制を強めたことが原因でした。
また、2017年9月には、中国国内のICO全面禁止と中国の大手取引所の取引停止が発表され、9月14日にはビットコインの価格が35%急落しました!(9月1日の価格と比べたときの下落率です)
中国政府は国民が仮想通貨投資をおこなうことに難色を示しており、度々このような規制などで急落・暴落が発生しています。中国の通貨当局の動きには今後も気を付けていかなければなりません。
それでは、実際に2017年に暴落・急落した仮想通貨の事例を紹介していきます!
【ケース1】2017年1月、ビットコインが30%急落
暴騰で少しだけ紹介した事例です。
2015年1月5日、ビットコイン価格は日本円で15万円を超える過去最高の高値を記録していました。しかし、その日、中国人民銀行(PBoC)はビットコイン投資の過熱に懸念を表し、中国国内の三大取引所である「OKコイン」「BTCC」「Huobi」を呼び出して、取引所責任者と規制等への話内や、リスクの調査を行いました。
また、PBoC上海本部は、中国国内の個人投資家に対して、「ビットコインは仮想的なモノであって法定通貨のような価値はない」という主旨の声明を出しました。
この動きを受けて、9/5の上海外国為替市場では人民元が大幅に上昇しました。それを見た中国の個人投資家たちは慌てて人民元の買い戻しに動き、ビットコインの価格が急落しました。中国の取引所OKコインでは、中国でも最高値を更新していたビットコインは、1174ドルから一時857ドル(約9万8555円)にまで急落してしまいました。
そして中国の影響は日本にまで及びました。中国のビットコインの動きを受けて、ビットフライヤーでは、午後に15万円の過去最高値を更新していたビットコインの価格が、数時間後には11万円を下回る価格に大暴落。
ビットコインが急落 人民元上昇で「パニック売り」 https://t.co/OxLmP6Qsaq
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) 2017年1月6日
日本ではこのあと、13万円近くまで回復しましたが、好調に伸び続けていたビットコインの価格がいきなり30%も暴落するというのは、投資家に大きな打撃を与えました。
【ケース2】2017年6~7月、イーサリアムが大暴落
2017年6~7月に大暴落したのは、ビットコインに次いで仮想通貨No.2のイーサリアム。
ビットコイン分裂対策として、時価総額の二番手であるイーサリアムに換える人が相次いでいたため、2017年6月12日には1ETH=43,000円を超える値が付いていました。しかし、6月下旬から下落が止まらず、結局7月16日には1ETH=17,000円台まで落ち込んでしまいました。
もし6月12日にまだイーサリアムが上がると踏んで購入していたら、7月16日には値段が半分以下になってしまっていますね。
イーサリアムが大暴落した原因には、ICOで上場されたイーサリアム系の「Status(ステータス)」で、イーサリアムの送金エラーが発生したことがありました。送金ができないばかりか手数料だけが取られ、送金が行方不明になるなどの致命的なトラブルでした。処理が一気に集中したためのシステムエラーのようですが、このトラブルにより、イーサリアムの信頼が失われ、急落へとつながってしまいました。
イーサリアムは「もしかしたら、ビットコインの代わりになるのでは…?」という期待値が高かった分、失望も大きかったようです。
さらには、ここにパニック売りが加わります。いままで順調に上昇していたイーサリアムが、急に10%、20%…と下落していく(自分の大切な資産が減っていく)のを見て、堪え切れずに損切りしてしまう人が相次ぎ、大暴落へと繋がりました。
7月16日に底値を記録してからは、また反発してイーサリアムは上昇。その後、また9月に急落、そしてまた上昇…、という状況です。この記事を書いている現在は、1ETH=41,000円前後なので、ようやく大暴落前の高値に戻りつつあります。
【ケース3】2017年9月、ビットコインが35%急落
こちらも冒頭で軽く触れた例ですが、2017年9月にビットコインはまたもや中国の影響を受けて暴落しています。
2017年9月1日に1BTC=53万円を超える値をつけていたビットコイン。(いうまでもなく、その時点での最高値です)それがどんどん下がり始め、9月14日には1BTC=34万円代まで暴落してしまいました。9月1日の価格から、なんと35%の下落!!!!
この暴落には、中国人民銀行(PBoC)の動きが大きく関わっています。先ほども書いた通り、中国政府は、仮想通貨を好ましく思っていません。仮想通貨により、中国国内の資産が流出するのを嫌がっているのです。そして、9月4日、中国人民銀行はついに「国内仮想通貨のICO(新規仮想通貨公開)を全面禁止!」と発表しました。
この報道を受けて、ビットコインや、ICOで使われることが多いイーサリアムの価格は大きく下がります。
そしてさらに!9月8日にはなんと、中国政府が、国内仮想通貨取引所の停止を発表したとのニュースが飛び込んできました。そう、中国の規制当局は、中国における3大仮想取引所である「OKコイン」「BTCチャイナ」「houbi」を停止させることを決めたのです。
この時の報道ニュースのタイトルには「仮想通貨交換の時代の終わり」などと衝撃的なタイトルが付けられていました。中国の主要取引所での取引が停止という未曾有のニュースを受け、投資家たちはパニックに陥りました。「今後、仮想通貨が使えなくなるのでは!?」「中国という大きな市場を失うから、仮想通貨の価値が激減するのでは!?」と投げ売りする人たちが続出したのです。
さらに下落の動きを受け、ロストカットする人たちが相次ぎました。
しかし…このあと、当事者である各取引所が相次いで「そんな通告は受けていない」とTwiitter等で発表し、9月14日には下落も下げ止まりました。結局、その後、中国の仮想通貨取引所は停止されました。しかし、たとえば「OKコイン」と「Houbi」は中国の外に拠点を移し、新たな国際的な取引プラットフォームを立ち上げることで規制に対応しています。
大暴落に対応できるよう事前の準備が必要
以上、2017年に起きた仮想通貨の大暴落について、代表的なものをまとめました。
今回のケースでわかることは、大暴落のきっかけには何かしらのニュース(例えば、送金トラブル・中国での規制など)があり、一度大幅な下落が始まると今度は、「損をしたくない」「早めにロスカットしたい」というパニック売りから便乗した売りが大量に発生し、大暴落に繋がるということです。
記事を読んでいるなかには既に大暴落を経験し、冷や汗をかいた過去を持っている方もいるかもしれません。そうでない方は、できるならば大暴落を経験したくないはず。
普段から、仮想通貨関連のニュースをチェックすることはもちろん、ひとつのコインだけに資産を集中させすぎないこと、信用取引でのヘッジを行いながら運用する、ロスカットの金額を決めておくなど、いざ暴落したときにも慌てず行動できるように準備を整えておくことが大切です。