仮想通貨の代表的な存在として知られるビットコインですが、
2017年に入ってから急激な上昇を続け1月には1BTC=972ドルだったものが、11月初旬には1BTC=7,000ドルを記録しました。
8月にはビットコインキャッシュ、10月末にはビットコインゴールドに分裂しましたが、
さらに11月中旬にはさらなる分裂が予定されています。
なぜビットコインは値上がりと分裂が続くのでしょうか?
2017/11/09追記:11月中旬の分裂は、中止(無期限延期)となったようです。この記事は、分裂中止決定以前の内容を含みますので、ご注意ください。
ビットコインに分裂バブル 11月に第4の新通貨:日本経済新聞 https://t.co/b9fu0MVw4E
— マネオラの中の人@うわ吉 (@maneora_jp) 2017年11月7日
上記記事を読み解いてみたいと思います。
Contents
ニュースの概要
ビットコインは2017年11月19日前後に3回目の分裂をしてSegwit2×が誕生する予定です。
8月に初めて分裂しビットコインキャッシュが誕生してから、10月末にはビットコインゴールド、そして今回のSegwit2×と分裂が相次いでいます。
そもそもセグウィットとは…
ブロックに入れる取引のデータのサイズを小さくして、より多くのデータをブロックに入れられるようにします。
取引のデータには、インプット・アウトプット・電子署名が入っていますが、電子署名の部分をウィットネスという別枠に入れて扱います。
これをセグウィット(segwit)と呼びます。
セグウィット(segwit)により、今までよりも約60%データのサイズを小さくすることができ、ブロックに1MB分入っていたのが、1.75MB分の取引が入れられるようになります。
(参照元:暗号通貨ナビ)
といった技術のことです。
パソコン内のデータを圧縮することで重くなった動作が改善されることとよく似ています。
ビットコインは近年需要が爆発的に増え、取引や記録する作業が遅れているため中国のマイナー(採掘者)たちが先導してこのセグウィットと呼ばれる技術を実装したビットコインキャッシュに分裂させました。
それに加えてSegwit2×は取引を記録するための台帳のサイズが1MBから2MBになり、より多くの取引を記録できるようになります。
ビットコインの性能がよくなって値段も上がるなら良いんじゃないの?なんて気もしますが、実はそうとも限らないのです。
読み解くポイントと解説
そもそもなぜビットコインが今年に入り分裂を続けているのかというと、先述のようにビットコインの取引量が増えたために既存のシステムでは不具合が出るようになったからです。
初めてビットコインがビットコインキャッシュと分裂したときには、資産価値を保護するために新しい通貨を取り扱うように進め、元々ビットコインを保有していたのと同じだけビットコインが付与されました。
その後ビットコインキャッシュは高値を記録し、ビットコインを持っていた人は大きな利益を得たのです。
海外の仮想通貨取引所では新通貨を顧客に与えなかったとして訴訟された事例もあり、取引所はビットコインの新通貨を取り扱わなければならないのが暗黙の了解となっています。
ですがこの流れに乗じて、わざとビットコインを分裂させて利益を得ようとするマイナーも多く存在します。
野村総合研究所の田中大輔氏は
マイナーが競争に勝ってマイニング料をもらうことができるというインセンティブがあることで、ブロックチェーン、ひいてはビットコインは維持されているわけです。マイナーがマイニングしてくれないと続いていかないシステムなのです。
いわばマイニングはビットコインの維持コストですが、それは誰かが一元的に管理しているわけではなく、オープンなシステムになっています。それゆえに、コア開発者たちや有力マイナーの間で利害関係も生まれて、自分に有利な仕組みにするにはどうしたらいいかで争いごとが起きてしまうわけです。
(参照元:毎日新聞経済プレミア)
と語っています。
前回ビットコインゴールドの分裂を推進した香港のライトニングASICは、分裂前に大量のビットコインゴールドを保有して巨大な利益を得ました。
今回分裂を進めているのは中国本土のマイナーたちです。
2017年に入り中国・韓国が立て続けにICOを違法としました、それにより新たな資金調達法として通貨の分裂が注目されているのです。
もちろん本当にユーザーのための改善ならばいいのですが、Segwit2×は開発者やソースコードが不透明なためプログラム自体の脆弱性が指摘されていたり、リプレイアタックと呼ばれるハッキング対策が不十分であるといった批判の声もあり、個人投資家は注意が必要です。
みんなの反応
マイナーがB2Xのフォークをサポートした場合、最初の10日間で100億円の損失が出る https://t.co/efdYSVywdK
— 大石哲之 Tetsu [NO2X] (@bigstonebtc) 2017年11月7日
技術に詳しい方々は、その問題の深刻さについての言及が多いようです。
ビットコインのB2Xのハードフォークに恐れもせずに買いに走るジャパンマネー。日本円が60%とする内の75%がレバレッジ運用。やばくないっすか?これ10月から確実に占める率が上がっています。一体ビットコインの実体はどれぐらいなのか?😱 pic.twitter.com/NlRSGlVRJK
— まぬか@china (@manukasabakan) 2017年11月2日
しかし、
投資家・投機家は技術なんて関係ない。儲かればOK!といったところでしょうか。
マネーの流入が止まらず、ビットコインは市場最高値を更新します。
まとめ
今は順調に値上がりを続けているビットコインですが、マイナーにより作為的に市場操作されたこの状態をバブルとみなす人はたくさんいます。
JPモルガンのCEOをはじめとしてウォール街の重鎮たちはビットコインの現状について「バブルだ」「詐欺だ」と強い論調で批判しています。
いかなる公的機関とも関係を持たない公平な新通貨として誕生したビットコインですが、規模が大きくなるにつれだんだんとその様相も変化しています。
特にビットコインの開発チームはSegwit2×に反対しており、2017年5月にニューヨークで行われた協定にも参加していません。
Segwit2×に分裂した後は多くの予想の通りバブルは弾けるのでしょうか、それとも高値を更新し続けていくのでしょうか?
11月以降ビットコインがどのような動きを見せるのか世界中が注目しています。