仮想通貨

【書評】「入門 ビットコインとブロックチェーン」を読んでみた

「ビットコインとブロックチェーンが社会を大きく変えるかもしれない」そんなニュースを目にすることが多くなってきました。

「そろそろビットコインとブロックチェーンについて勉強しないといけないな。」とお考えの方も多いのではないでしょうか。

でも、いざ勉強を始めようと思っても、何からどう勉強し始めればいいかってわかりませんよね。

そんな方に、まずはこの本から!という1冊をご紹介したいと思います。

「入門 ビットコインとブロックチェーン」という本です。

著者は一橋大学名誉教授の野口悠紀雄さん

著者である野口悠紀雄さんは、一橋大学名誉教授です。1964年に大蔵省に入省後、エール大学にて経済学博士号を取得し、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任した経験を持つ経済のスペシャリスト。

「情報の経済理論」、「財政危機の構造」、「バブルの経済学」、「ブロックチェーン革命」、「仮想通貨革命で働き方が変わる」など、多くの書籍を執筆しています。

本の内容について

本のパートは、大きく5つに分かれています。

  1. ビットコインとは何か?
  2. ビットコインを実際に使うには
  3. 銀行が仮想通貨を発行する
  4. ブロックチェーンとは何か?
  5. ブロックチェーンの応用が広がる
  6. シェアリング・エコノミーとブロックチェーン
  7. IoTとブロックチェーン
  8. 分散自立型組織DAOが作る未来社会

1.ビットコインとは何か?

ビットコインの仕組みはもちろん、その価格推移や経済規模、安全性など、様々な角度からビットコインについて解説されています。

多面的に解説されているので、ビットコインについて正しく深く理解することができました。

以下、本文からの抜粋です。

ビットコインの時価総額は、2017年11月上旬に、1233億ドル(約14兆円)になりました。2016年秋には約1兆円でしたので、この1年間で約14倍に増加したことになります。

日本の株式会社でこれを超えるものは、時価総額約23.4兆円のトヨタ自動車しかありません。

2009年に発行されたばかりの通貨ということを考えると、ビットコインの勢いがいかに凄まじいかわかりますね。

しかし、日本の通貨である日本銀行券の残高が約100兆円であることを考えると、通貨としての存在感はまだまだ小さいことがわかります。

2.ビットコインを実際に使うには

法定通貨(日本円や米ドルなど)にはないメリットが、具体例を用いながらわかりやすく解説されています。

本書を読み、これまで当たり前のように使っていた日本円が、「意外に不便なのかもしれない」と思うようになりました。

以下、本文からの抜粋です。

現在、取引所でビットコインを購入する場合の手数料はゼロであることが多く、また、ビットコイン送金の手数料も低いので、送金相手がビットコインを受け入れるかぎり、低いコストで送金ができます。
しかも、365日、24時間いつでも送金が可能です。

ビットコインを利用すれば、仕事の休憩時間を利用して、銀行窓口が開いている15時までに走って銀行に向かう、なんてことはしなくてよくなります。

いつでも取引ができるというのは、働いているビジネスマンにとってとてもありがたいことですよね。

3.銀行が仮想通貨を発行する

三菱東京UFJ銀行など、メガバンクが独自の仮想通貨を発行しようと動いていますが、エストニアでは、中央銀行が「エストコイン」という仮想通貨を発行しようと動き出しています。

本章では、メガバンクや中央銀行が仮想通貨を発行したらどんなメリットがあるのか、どんな変革が起きるのかについて解説されています。

以下、本文からの抜粋です。

管理者が存在し、しかも価格が固定されているという点で、銀行が発行する仮想通貨は、電子マネーに似ているところがあります。

ビットコインは価格変動が激しすぎるため、現在は投資・投機目的で購入される場合がほとんどです。これは、仮想通貨本来の使い方とは異なります。

銀行が独自に発行する仮想通貨は、ビットコインが苦手とする送金手段としての利用を目指しているということですね。

4.ブロックチェーンとは何か?

ブロックチェーンの仕組みについて、様々な角度から解説されています。

ハッシュ関数、マイニング、ノードなど、初心者がつまづきやすいポイントが網羅されているので、本書を読めばブロックチェーンの基本的な部分は理解することができます。

以下、本文からの抜粋です。

集中管理システムでは、王様が全ての取引情報を記帳しています。したがって、「王様は不正をしない」と人々が信用していることが重要です。
一方で、分散システムでは、「町の中心に置いた誰もが読める「石板」」に記録しています。情報は石板に書かれているために、書き換えられないのです。だから信頼できます。

ブロックチェーンの利点が、たとえ話を用いながらわかりやすく解説されています。

本書はたとえ話や対比が非常に多く使われているので、最初に読む解説書としてはぴったりです。

これまであまり理解できていなかった部分も、本書を読んでだいぶクリアーになりました。

5.ブロックチェーンの応用が広がる

本章では、ブロックチェーンが今後どのように社会に影響を与えていくのかについて書かれています。

ブロックチェーンはビットコインの基幹技術だと思っていましたが、本書を読み、ブロックチェーンを最初に利用したのがビットコインなのだと認識するようになりました。

以下、本文からの抜粋です。

金融業で行われている業務の多くは、情報の仲介です。これがブロックチェーンで代替されれば、コストが低下します。これによって、金融業の姿は大きく変わるでしょう。

保険や証券など、様々な業界でブロックチェーンの研究・導入が進んでいます。

ICO(Initial Coin offering)の登場により、資金調達の方法まで変わってしまいました。

スタートアップ企業が容易に資金調達できるようになり、投資家はインターネットで直接トークンを購入できるようになり、企業経営のあり方が大きく変わるかもしれません。

6.シェアリング・エコノミーとブロックチェーン

本章では、今話題のシェアリング・エコノミーについて解説されています。

UberやAirbnbなどが提供しているサービスが、ブロックチェーンの台頭によりどのような変化が起きるのか?についてわかりやすく書かれています。

以下、本文からの抜粋です。

民泊の場合、現在は、部屋を貸したい人と、借りたい旅行者がいて、これをAirbnbが仲介します。この仲介の仕事を、ブロックチェーンで代替して、繋ぐことができます。
ブロックチェーンを使えば、信頼性を確保しつつ、提供者と需要者がサービスを直接にやり取りできるようになります。遠からず、両社の業務は自動化されるでしょう。

サービスを提供する人とサービスを受けたい人が、ブロックチェーンを用いて直接繋がるようになれば、AirbnbやUberは不要になってしまうということですね。

Uberは20%の手数料を徴収していますが、ブロックチェーンの台頭により、コストは圧倒的に下がることが予想されます。

7.IoTとブロックチェーン

IoTとは?といったところから、IoTが今後どのように未来を変えていくのか、また、ブロックチェーンとの関わりあい方について解説されています。

以下、本文からの抜粋です。

IoTの具体的な利用分野としては、まず、電気やガス、水道などの重要インフラにおける安全・防災対策、業務効率化、サービス向上、省エネ・省資源、人の見守りなどがあります。

IoTってなんだかすごく小難しいことのように思っていましたが、とても身近な部分にまで影響を与える技術なんですね。

ホームオートメーションに組み合わせると、外出中に自宅の照明や警報装置を操作したり、電力消費量を確認したりできるようになるかもしれません。

8.分散自立型組織DAOが作る未来社会

DAOとは、ブロックチェーンを活用することで、経営者をなくした「分散自律型組織」のことです。

DAOとは?といったところを、図解を使ってわかりやすく解説されています。

また、DAOが社会をどのように変革し、それに伴って私たちの働き方はどう変わっていくのか?というところにまで言及されていました。

以下、本文からの抜粋です。

例えば金融機関においては、単に情報を右から左に伝えるだけの役割しかしていない人は、早晩、AIとブロックチェーンに置き換えられるでしょう。ほとんどの銀行員が要らなくなってしまうという事態も、あり得ないことではありません。

三菱東京UFJ銀行が1万人にも及ぶ人員削減を行うと発表したのは、記憶に新しいかと思います。

「銀行に入行する=勝ち組」のようなイメージが社会一般にはありましたが、その図式が崩れてしまうかもしれませんね。

他の産業でも、「仲介」の役割を担っていた人たちは、淘汰されていってしまうでしょう。

本書を読んでみた感想

具体例や対比、図式などを多く使いながら解説されているので、ビットコインとブロックチェーンについて、とてもスムーズに理解することができました。

また、DAOやIoTなどの未来技術についても言及されていたので、「未来技術」について学びたい人にとっては最適です。

逆に、ビットコイン投資をしてみたい!という投資目的の方には物足りない内容かもしれませんね。

Amazonのレビューをチェック!

Amazonではどのようなレビューが寄せられているのか、チェックしてみたいと思います。

6件のレビューが寄せられており、評価は5つ星のうち4.0でした。

以下、興味深かったレビューをご紹介します。

この本は入門でありながら仮想通貨の流れと相違点、政策でも打ち出されているシェアリングエコノミー・IoTとの関わり法問題の提起まで様々な部分を網羅した本であり大変感銘を受けた。

「入門 ビットコインとブロックチェーン」というタイトルが付けられていますが、本書の内容はそれだけにとどまりません。

シェアリング・エコノミー、IoT、DAO、量子コンピュータなど、その内容は多岐に渡ります。

そして、どれも具体例を用いながら、とてもわかりやすく解説されていました。

まさに未来技術の教科書のような1冊。

題名通りビットコインとその背景にあるブロックチェーンについての入門書だ。Q&A方式で解説されている。索引や質問項目で気になった点から読めば良い。

本書は、ポイントごとにQ&A方式でまとめられているので、自分がすでに知っている分野についてはサクサク読み飛ばすことができます。

また、索引がついているので、「これってどういう意味だっけ。」と辞書代わりに使うのもおすすめです。

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kindle版:750円
新書:961円
(金額は変動する可能性があります。最新情報は、アマゾンにてご確認ください。)

まとめ

以上、入門 ビットコインとブロックチェーンの書評をまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?

本書はビットコインとブロックチェーンのみならず、IoTや量子コンピュータなどの最先端技術についても言及されており、とても読み応えのある本です。

ブロックチェーンを始めとする未来技術に興味のある方は、ぜひこの本から勉強を始めてみてください。

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