ビットコインの基幹技術であるブロックチェーン。
「分散型台帳」や「金融関連の基幹技術」であるとなんとなく認識してはいても、具体的にどのような仕組みで、どのようなメリットがあるのかしっかりご存知の方は少ないのではないでしょうか?
そんな方に、まずはこの本から!という1冊をご紹介したいと思います。
「いちばんやさしいブロックチェーンの教本」という本です。
Contents
著者は一般社団法人ブロックチェーン推進協会で副代表理事を務める杉井靖典さん
金融サービス向けの本人認証・認可基盤
・非対面型金融サービス向けのオンライン申込支援
・犯罪収益移転防止法の要件で求められる入力項目を網羅
・写真付きIDと本人撮影者の一致度を判定
・生体認証による使用デバイスの特定… https://t.co/xokS964Nxl— 杉井 靖典 (@yasunori_sugii) 2018年3月2日
著者である杉井靖典さんは、カレンシーポート株式会社で代表取締役を務める傍ら、一般社団法人ブロックチェーン推進協会で副代表理事を歴任しているブロックチェーンの第一人者。商用インターネット黎明期よりWEBやIT分野の幅広い事業に携わってこられ、ブロックチェーンの実装案件では国内トップクラスの実績をお持ちです。
本の内容について
本のパートは、大きく8つに分かれています。
- ブロックチェーンとはなにかを知ろう
- ビットコインを体験しよう
- ブロックチェーンを支える暗号技術を学ぼう
- ブロックチェーンを支える分散システムを学ぼう
- ウォレットの仕組みを理解しよう
- ブロックチェーンに取引を記録するトランザクションについて学ぼう
- スマートコントラクトで契約を執行する仕組みを知ろう
- ブロックチェーンが活用される世界を想像しよう
1.ブロックチェーンとはなにかを知ろう
本章では、「ブロックチェーンとは?」を簡単にわかりやすく解説されています。概要をつかむためのチャプターという位置付けです。
以下、本文からの抜粋です。
経済産業省の試算によると、日本国内におけるブロックチェーン関連の市場規模は、67兆円に達すると予測されています。
「ブロックチェーン=ビットコインの基幹技術」といったイメージが強いですが、「ビットコイン=ブロックチェーンが初めて使われたもの」という表現が正しいのかもしれませんね。
地域通貨はもちろん、電子クーポン、土地登記、電子カルテ、遺言、電力サービスなど、幅広い分野にブロックチェーンが利用されると予測されています。
2.ビットコインを体験しよう
本章では、ビットコインの仕組みや始め方、そのリスクなどについて解説されています。
以下、本文からの抜粋です。
ビットコインはブロックチェーン上に記録されている数字に過ぎません。したがって、電子マネーのように、形のある貨幣や紙幣に交換することはできません。
たしかに、ビットコインと日本円を両替することはできますが、それは「もともと持っていたビットコインと同価値の日本円」と交換するだけですもんね。
3.ブロックチェーンを支える暗号技術を学ぼう
ブロックチェーンを正しく理解するためには、暗号技術に関する知識が必要になります。ブロックチェーンの安全性と信頼性を高めるための仕組みについて解説されています。
以下、本文からの抜粋です。
暗号技術は、あらゆる情報システムの信頼性を支えています。
暗号技術と聞くと、秘密のやりとりを行うための道具のようなイメージがありましたが、現代では、日常生活の安心と安全を守るために使われていることが多いんですね。
ライフライン、交通システム、金融決済システムなど、多くの世界で暗号技術が使われています。
4.ブロックチェーンを支える分散システムを学ぼう
本章では、P2P分散ネットワークシステムやProof of Workなど、初心者がつまづきやすいポイントについてわかりやすく解説されています。
以下、本文からの抜粋です。
P2P方式を採用する最大のメリットは、事故などによってシステム全体が止まるリスクがきわめて低く、長期にわたって安定した稼働を続けることができる点です。
初心者でもわかるように、平易なわかりやすい文章で解説されているのが本書の特徴です。
難しい専門用語をできるだけ使わずに解説が書かれているので、初心者の私でもすんなり理解することができました。
5.ウォレットの仕組みを理解しよう
本章では、ビットコインや仮想通貨を安全に保管し、やりとりするためのウォレットについて解説されています。
以下、本文からの抜粋です。
普段から持ち歩く財布をホットウォレットと呼び、家に置いてある耐火金庫をコールドウォレットと呼ぶ。そのようなイメージで理解してください。
これは、コインチェックのNEM流出事件で話題になったトピックです。
このたとえでいくと、ユーザーから預かっていた仮想通貨を常に財布に入れて持ち歩いていたということになりますね。
ホットウォレットやコールドウォレットなど専門用語は理解するのが難しいですが、本書ではたとえを多く用いて解説されるので、とても簡単に腹落ちすることができました。
6.ブロックチェーンに取引を記録するトランザクションについて学ぼう
本章では、ブロックチェーンの中身であるトランザクションとブロックについて解説がされています。
難しい内容ですが、1つずつ丁寧に解説がされているので、とてもわかりやすいです。
以下、本文からの抜粋です。
トランザクションは、P2Pネットワークを通じて、世界中から投かんされ、コピーされながらバケツリレーの要領で全世界に伝播されます。
トランザクションやP2Pネットワークは、初心者がつまづきやすいポイントだと思います。
そういったポイントはたとえ話を用いながら解説されています。
7.スマートコントラクトで契約を執行する仕組みを知ろう
スマートコントラクトは、契約での合意内容を、当事者がいない状態で自動的に実行するための仕組みです。
社会に大きなインパクトを与える可能性を秘めたスマートコントラクトについて解説されています。
以下、本文からの抜粋です。
スマートコントラクトを利用した組織あるいは企業の概念として「DAO」または「DAC」というものが提唱されています。
管理者不在のコンピューターが支配する社会です。
これはとても面白い概念ですよね。
ビットコインを皮切りに、非中央集権化は一気に加速していくでしょう。
8.ブロックチェーンが活用される世界を想像しよう
本章では、ブロックチェーン技術が実社会でどのように活用できるのか、業界やサービス分野ごとに具体的に解説されています。
以下、本文からの抜粋です。
ブロックチェーンの「耐改ざん性」「存在証明性」「事実否認防止」の特性を駆使できるのが「証憑書類の保管・デジタル文書の真正性証明」の分野でしょう。
これは、テキストデータ、画像データ、音声データ、映像データなどです。
ブロックチェーンは、親和性の高いと言われている金融業界だけでなく、こういったデータ管理分野にも活用が可能なのですね。
ブロックチェーンを活用することで、わたしたちの暮らしはとても便利になるかもしれません。
本書を読んでみた感想
具体例や対比などを使いながら解説されているので、これまで正しく理解ができていなかったブロックチェーンについて正しく理解することができました。
その仕組みやメリットだけでなく、これからどのような分野に活用されるのかまで書かれているので、読んでいてとてもワクワクします。
Amazonのレビューをチェック!
Amazonでhどのようなレビューが寄せられているのか。チェックしてみたいと思います。
14件のレビューが寄せられており、評価は5つ星のうち4.1でした。
以下、興味深かったレビューをご紹介します。
本書を読めば、様々な技術の組み合わせによりブロックチェーンが作られていることが分かる。 本書は、「一方向ハッシュ関数」等、初歩的な話も含めて丁寧に順序良く解説している。
暗号技術や分散システムなど、様々な角度からブロックチェーンについて解説されているので、その本質を理解することができます。
また、難しい専門用語もわかりやすく解説されているので、最初に手に取る1冊としてはかなりオススメです。
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「いちばんやさしいブロックチェーンの教本」の購入ページはこちらです。
kindle版:896円
単行本(ソフトカバー):1,998円
(金額は変動する可能性があります。最新情報は、アマゾンにてご確認ください。)
まとめ
以上、「いちばんやさしいブロックチェーンの教本」の書評をまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
本書はブロックチェーンの基本的な仕組みの部分から、その活用法やブロックチェーンの作り出す未来にまで言及されています。
未来を大きく変えるかもしれないブロックチェーン技術について、一から学びたいという方には最適な本です。
ブロックチェーンの勉強は、ぜひこの本から始めてみてください。